入門者におすすめの模型キット
入門者(初めて製作なさろうとする方)向けキットで、動画が豊富なものを集めてみました。
定年後にゆっくり腰をおちつけて製作にかかる年配の方も多いので、YOUTUBEになじみのないこともありえることから、リンク先のyoutubeに行かなくても、それなりにみれるようにページを製作しています。
また、ページにコメントを残せるような機能もありますので、こうした方が、うまくいった等成果を記録していただけるようでしたらよろしくお願いいたします。(容量のこともあって、管理者に削除権限のあることをご承認ください。もちろん、その動画内容に関係した製作に役立つコメントであるかどうかを優先して残したいと思います。)
動画紹介をしているキットについて
ピンタは、アマティ社のキットです。比較的製作しやすいという評判のキットです。大阪や神戸の同好会で初心者向けとして教材としてとりあげられたこともあるキットです。
レディネルソンは、ビクトリーモデルというブランドのキットです。ヴァンガードモデルで活躍しているクリスワットンさんのデザインによるもので初心者向けに作られたキットです。
ちなみに、HMSビーグルというキットを、以前、ここで紹介させていただいておりました。一般では、2~3隻目に勧めるようなレベルのキットです。ちょっとご紹介できるものが増えたので、帆船模型の動画一般に移しました。ビーグルですが、ビデオの本数が多く、いわゆる情報不足からくる難しさが大きく緩和されていることから、腰をおちつけてじっくり製作に取り組みたい、腕におぼえのある方に良いのではないかという判断でここでご紹介させていただいておりました。経験則上、帆船模型を志す者にとって「情報不足からくる難しさ」は大きな問題と考えていますので、ビデオ本数の大きさは大きなアドバンテージですので、ひきつづき検討いただいてもよいのではないかと思いますのでよろしくどうぞ。
ポラリスやアルバトロスは、スペインのOCCreと言うブランドの製品ですが、スペイン製のものはデザイン的にはイタリア製のものに後れをとる評価が多いですが(慣れた方は改造してしまうので一概に言えない)、イタリア製のものより作りやすいとも言われています。特にyoutubeへの投稿本数が、非常に多いメーカーですので、ビーグルと同じアドバンテージがあると思います。
どんどん、あとからYoutube上に、ビデオがアップされていますので、ここにあげる以外の初心者向けキットもあると思います。ご自身のお気に入りを探されてみてもよいかもしれません。
ピンタ
PINTAについて1492年コロンブスがサンタマリアで探検したことは広くそして非常に有名なため、まるで1隻で探検がなされたかのように思われていることが多い…
続きを読むレディーネルソン
Lady Nelson についてこの船はカッターと呼ばれる船種に該当するのですが、フランスのラガーとよく並べて論じられることが多い英国特有の船種として有名…
続きを読むポラリス
ポラリスについて親しみやすいキットを展開していて人気のあるアークレーブランドですが、特に初めて製作してみようとする方向け専用に設計されたキットが発売されて…
続きを読むアルバトロス
アルバトロスについてスクーナー(2本以上のマストに縦帆を艤装した船)の発祥はオランダですが北米に伝わり、広く活躍しました。風上に向かって進むのに適しており…
続きを読む 何を選ぶか迷う場合は・・・
よく、「帆船模型には初心者用キットはない。」と言われます。 この言葉を、店では「帆船模型を完成させたことがある方なら、かえってその豊富な知識によって、どのキットも組み立てるのは難しい」と言う意味で勝手に理解しています。実際、ベテランの方の作品をみると細部の製作の行き届きまくりです。(細工的なものだけでなく歴史考証まで配慮をなさっておられる方もまったく珍しくありません。)
はじめて作るという方が、最初から、そんなことをパーフェクトにしようとしていては、とても完成におぼつきません。まずは最初に作りやすい船を作って、面白味を知り、さらに作業に慣れ、知識と技術を段階的に身につけていくのが近道ではないかと思っていますので、そういう意味からの「選択のポイント」を書きたいと思います。
〇好きこそものの上手なれ。
楽しくなければ趣味ではありません。最初から、精度を高くしようとして辛抱強く作るより、楽しみながら作ろうではありませんか。 まず、好きにならなければ、立派な作品などできないと思います。 また、たとえばマラソンで一部の区間だけペースを飛ばしていたら、ゴールまで行けませんよね。それと一緒で、どの作業にどのくらい必要かが、把握できていないと、面白味がわからないうちに挫折してしまうと思います。たのしくまず一隻製作し、各箇所で、どれだけの手間と時間をかけなければならないかを知りましょう。最低でも100時間は必要ですから、それらがわからないとゴールのわからないマラソンになり、苦しみばかりが増します。
〇設計図の親切さ
仮にいくら、いい加減な設計図やイラストだとしても、これらを軽視するのは、地図を見ずに旅をしているようなものです。 ですから、これらを主軸にすえる必要があります。慣れた方だと、実際にとりかかる工程の二手三手先を読んで、実際に可能か、シミュレーションなさっています。ただ、初心者のうちは最初から親切な設計図がついたメーカーのものを選ぶということは、選択の大きなポイントになると思います。
他方、もともと、帆船のパーツには、日本語がなかったり、仕組みが日本人にはわからないものは、たくさんありますから、図面に慣れ親しむ作業も重要です。
具体的に図面のすべてを仔細に検討して、ご報告できればいいのですが、キットの数も多く、膨大な時間が必要で、とても現段階ではとても無理ですので、確認出来ている点だけで申し上げますと、 近年発売されているキットで図面が付属しているものは一定の水準を持っていて、ほぼ安心できるように思います。(飽くまで昔のキットと比較しての話です。また、ヨーロッパやアメリカのキットに限定させていただきます。)
ただし、いくつか例外もあります。
一点目の例外としてモデルシップウエイ社は少なくとも1隻作り上げたことのある方向けです。設計図が詳細なのですが図面や指示が詳細すぎて、今度は、その詳細さが、製作者に一定水準の技能を要求してきます。強いて言えば、この会社の船を完成させることができることは製作や知識が中級レベルだと思います。
2点目の例外はアルテサニア社です。図面がありません。すべて写真で説明が行われています。ある意味リアルでわかりやすいのですが、実寸がわからないため中級者の方だと正確につくれないため不満が残ったり、写真に騙された(言葉がないために勘違いをおこした)という意見が寄せられています。アルテサニアがこのような方式を採用したのは、作りやすさを意識してのことですが、評価は未だ二分しています。(なお、図面を省略しているのはコピー商品を防ぐためという意味があると思っています。)
3点目はYoutube動画です。前述したようにいわゆる「情報不足からくる難しさ」が大きく緩和されます。
〇船体の外板の曲がりが少ないもの
「船体の外板の曲がりが少ないものが作りやすい」ということが、よく指摘されます。 具体的には、19C以降のスクーナー、カッター、ボルティモアクリッパーなどのことを指しているのでしょう。
スケールも大切です。大きい方が作りやすいけれども、全長があまり長いととりまわしが大変ですし、置く場所も大変です。といって小さすぎると船によっては魅力的な曲線部を表現するのに大変苦労します。さらに小さな艤装品は、アジア圏の製品なら省略されていることや間違っていることは日常茶飯事ですし、欧州圏のものでも小さすぎて製作に苦労します。
大きさの目安として具体的には600mm~700mmくらいが良いと言われています。
〇気に入った船
いうまでもなく気に入った船を選ぶのも、こだわって作れるという意味で、非常に選択のポイントです。
よく、カティサークを勧める方がいますが、リギングは大変では、ないんでしょうか?あの何枚もある帆は、どうするんでしょうか?サンタマリアやゴールデンハインドも、よく勧められているようですが、船首や船尾の曲面はちょっと難しいような気がします。
表面的な恰好ではなく、本当にあなたが気に入っているのか、良く考えてください。ただ、船の来歴を知るとデザインだけで好悪を考えなくなってきます。
〇基礎的な作業
1隻目の「キット」として選択するためには、帆船模型で必要とされる基礎的な作業が、ほぼ、含まれていることが望ましいと思います。 良い入門キットは入門者に対して帆船模型を製作する必要な作成技術が必要となる機会を用意しています。
最後に
ModelShipway社の模型製作手引きには 「模型製作が進行するにつれて模型を改良することが出来ると思うならば、その技術を必ず試してください。 起こり得る最悪のこととしては少々のロス・タイムが出ることだけです。 しかしながら獲得した経験というものは将来の製作する模型のプロジェクトにおいて必ず有益になります。」とあります。
ベテランの方の作品や製作に関しての工夫をお聞きする機会が数多くありますが、それは創意工夫に満ちております。 「獲得した経験というものは次のプロジェクトにおいて」が、ふんだんに生かされています。
最初から大物に挑戦する方も見受けられますが、その過程でこのようなことは実現できません。 (パッと見たときには良く似た作品になるかもしれませんが、人を感心させる作品にするには難しいのではないでしょうか) 文学の世界ではデティールに神は宿るともいうそうです。何事も素直な心と地道な努力が肝要と思います。