Xebec

Xebecって読み方が、ちょっとわかりませんよね。ジーベックと読みます。アラビア系かペルシア系の言語に由来しているそうです。

17世紀のバーバリ海賊たちに用いられた船として有名です。ついたあだ名が「海の虎」です。
戦列艦のような威風堂々とした船を思い浮かべるかもしれませんが流れるような形の船体、3本マストの縦帆~ラティーンセールが特徴的ではありますが、とてもそんなふうには見えません。結構小さく、また、砲も貧弱なように見えます。(実際は相当強力な大砲を積んでいたと言われています。)

ところが、地中海では大砲をそれなりに積載したフリゲート艦も敵わないことから、フランスやスペイン海軍もジーベックを所有していたそうです。(おそらく漕走と帆走を効率よく組み合わせられるからだと思います。)

実際に、この船は16世紀~18世紀の地中海で、その快速性、操作性から大活躍し、軍用、私掠船、海賊船、商船として幅広く利用され、多くの国で造られていました。

ちなみにジーベックをケベックと表記している書籍がありますが、これは誤りです。(参照:「海の昔話」杉浦昭典~神戸商船大学名誉教授 著)
18世紀ごろには、シェペック(仏)ハペケ(西)というような改良されたものも登場していますので、ケベックも、そのような改良型の一船種と思われます。

ジーベック アマティ社キット

ジーベック

ジーベックは、ほぼ地中海でのみ使用された帆走も漕走もできる船種です。中世から19世紀までの長い期間にわたり、商船、小型軍艦、果ては海賊船に至るさまざまな用途で用いられていました。  長く突き出したバウスプリット(船首斜檣)、前傾したフォアマスト(前檣)、長い船尾突出部を持つ小型船で、ラテンセール(大三角帆)による帆装、細長い船体に特徴があります。  長期無寄港の航海があまりなく飲料水や食料の積載量もそれほどいらないという地中海特有の事情は、細長く乾舷の低い艦体の設計として反映し、漕走性能・速度の面でいかされました。

ダウ(マラカブ)

ジーベックという船は有名ですが、そのほか、イスラム圏で一般的に使われていてよく知られている船には、ダウという有名な船種があります。

実は、意外なことなのですが「ダウ」と呼んでいるのはアラブ以外の人(専ら西洋人たち)で、アラブの人たちは同じ船を「マラカブ」と呼んでいるそうです。(グリニッジ国立海事博物館のBrian Laveryさん書いた本に載っていましたので間違いなさそうです。NHKでもアラブの船の特集のとき「ダウ」でしたし、ずっと昔ですが、神戸海洋博物館の模型でも「ダウ」で展示されていました。)

我々日本人にとっても「ダウ」と呼ぶ方が馴染みがあるので、ダウで説明を続けますが、この船は紀元前に端を発し、10世紀ごろには普及していたようです。また現在にいたってもダウと呼ばれる船はアラブの海を走っています。

前世紀まで、ダウは外板に穴をあけ紐を通して縫い合わせ、タールや魚油などで固めて作られる、いわゆる「縫合船」で、西洋の船のようにキールやフレームがなかったようですが、現代のアラブの海を走るダウは、エンジンも搭載していますし、縫い合わせたりせず、釘を利用したり鉄の船もあるようです。おそらくこの海域を走る中小型船のような意味で使われているのだと思います。

ダウ アルテサニア社キット

ダウ(マラカブ)

伝統的なアラブの船で、その歴史は紀元前にまでさかのぼると言われ10世紀にはアラブの海を活躍していたと言われる。外板に穴をあけ紐をとおして縫い合わせタール、魚油などで固めて作られるいわゆる縫合船で、西洋の船のようにキールやフレームはない。なお、現在でもアラブの木造帆船を一般にダウと呼んでいるが、エンジンも搭載しているし、釘も利用しています。