カラヴェル船とは
1488年、バルトロメオ・ディオスが率いたアフリカの南端の岬を回った船隊は、3隻のカラヴェルからなるものでした。
また、コロンブスの率い新世界を発見した船隊は、1隻のキャラック(サンタマリア)と2隻のカラヴェル(ピンタとニーニャ)からなるものでした。
インドにたどり着いたバスコ・ダ・ガマの船隊にも、カラヴェルが見られます。
カラヴェルは、15世紀に行われたポルトガルの探検航海に、必ずといって良いほど用いられ活躍しましたが、その船の詳細は殆どわからないと言われています。
特徴
平張りで、喫水は浅く、甲板は通常1層、軽量で扱いやすいといわれていたようです。
なお、この船は17世紀まで使用されましたが、その後は小型船であるために時代の需要(大量の輸送力が必要となっていた)に応じられなくなり、用いられなくなったといわれています。
他の船との比較
喫水が浅い点がキャラックと全く異なり、それが船体自体をコグやキャラックよりも、ずっと扱いやすくさせています。また速度も速いです。
キャラックよりも、イスラム系の船に似ており、扱いやすさを引き継いでいるようにも思えます。
反面、キャラックより小型で輸送量がありません。ところが帆は複数のマストに四角帆だけでなく三角帆を用いるなど工夫がなされています。
ガレー船、あるいはダウ等の地中海あたりの船と、ヨーロッパ北部のコグの中間型のようにも思われる節があり、昔から南方系の船と北方系の船がイベリア半島で融合されたとか、ポルトガル航海王エンリケのVila do Infante(王子の村)で、他国に対し優位に立つため、密かに開発された船種と説明するような本も読んだことがあります。
有名な船
1492年のコロンブスの探検船団は3隻からなる船団でしたが、ピンタは、そのうちの1隻です。サンタマリアは、カラックと呼ばれる船種で、耐波性が高い、大量輸送に適した大型の船でしたが、他方、僚船であるピンタとニーナはカラベルという船種で、喫水が浅く、沿岸の浅瀬や河川を探検することが可能で、人員もそう多く必要ありません。
ピンタ
コロンブス(伊)は外国人でありながらスペイン人を率いて探検をおこなったわけですが、彼の探検を支えた重要なキーマンが、ピンタの船長であったことは、よく知られるところです。ピンタはスクウェアセイル(四角帆)が採用されています。そのため順風時に速度の点でおいてニーナに比べて優れていました。
ニーニャ(ニーナ)
ピンタと異なり、三角帆であることから、向かい風にもすばやく移動することができました。